1.研究テーマ・動機

 上下が入れ替わるシーソーの斜面を上から下へ転がって発電させる、簡単でどこでも設置・運転できる発電装置がある。

 我々は、いつでもどこでも発電できるものを求めて、再生可能エネルギーに注目をした。その中でも太陽光発電と風力発電について研究・開発から販売までを行なっていたのだが、本当の意味で制約がない発電方式はないかと別の方式を追求した。その中で、ジェットコースターがスピードに乗って降りてくる様子を見て、「この力を利用して電気を生むことができれば」という思いから、『斜面を転がる回転エネルギー(重力)を電気エネルギーに変換する』重力発電システムに着手し、プロジェクト『グラビティ24』をスタートさせ、その完成を目指している。

 このプロジェクトの柱としては2つあり、まず1つ目は、小規模な形で設置することで、市街地でも発電を可能にすることや、今後とされるであろうEVやドローン関連のインフラの整備に寄与することである。2つ目は、大規模な形で設置することで、現在の発電の仕組み自体を変えることを目標としている。

 現在、200W発電する試作機を製作し、実験と改良を進めている。そして、得られた知識・経験を生して、より高出力を、より小型化を求めることで、次の段階の開発に繋げることができる。

2.グラビティ24の特徴

グラビティ24の特徴は以下に示す。

① ① 斜面を転がる回転エネルギー(重力)を電気エネルギーに変換する世界初の発電方式(特許取得済み)。(図1参照)

② ② 太陽光などの再生可能エネルギーを使用する場合、屋外に設置する必要があるが、グラビティ24は屋内に設置可能なため、天候に左右されることがない。

③ ③ 発電に熱を利用しないため、温室効果ガス(CO2など)を排出しない。

④ ④ 温度維持のための冷却水を使用する必要がなく、排水もないので、水辺に設置する必要がない。

⑤ 場所を選ばず設置が可能。

⑥ ⑥ 屋内に設置できるため、音に関する影響を考慮する必要がないので、24時間連続で発電(運転)可能。

⑦ 廃棄時に95%が再生可能な部材でできている。

⑧ 出力を上げる方法が発電部分(発電機)の数を増やす方法と本体数を増やして連結させる方法の2種類がある。

⑨ ⑨ 小規模モデルではEVやドローン関連の充電ステーションとして、インフラの整備に寄与できる。

⑩ ⑩ 大規模モデルでは、②~⑧の特徴から電気消費地の近郊に設置できるため、既存の発電設備のように送電ロスを見込んだ送電網(変電所)が必要なくなる上、発電設備の規模を小さくできるといった、発電の仕組み自体を変えることが可能。

図1.動作の概要

3.グラビティ24の開発に至る背景

グラビティ24を開発するに至る背景、今後の展開及び課題は次の通りである。

 20年前から我々は太陽光発電や風力発電に注目をして、研究開発を進め、その販売を行なってきた。それは、『いつでも、どこでも発電できる』ようにとの思いからであった。しかし、研究開発を進めるにしたがって、太陽光発電や風力発電は時間帯や天候、場所によって出力が変動する、裏を返せば、『いつでも、どこでも発電できる』わけではないことに気付いた。そのため、本当の意味で制約がなく、いつでも、どこでも発電できる方式がないかと別の発電方式を追求した。別の発電方式を追求する中で、ジェットコースターがスピードに乗って降りてくる様子を見て、「この力を利用して電気を生むことができれば」という思いから、『斜面を転がる回転エネルギー(重力)を電気エネルギーに変換する』重力発電システムにたどり着き、プロジェクト『グラビティ24』をスタートさせた。

 それとは別に現在、人口の増加や経済の発展・グローバル化によって、電気消費量が世界的に増加している。その消費量を補うために発電量を増やす必要があるが、電気消費量増大に対応すること自体には発電設備を増設することで対応は可能である。しかし、単純に火力発電設備や原子力発電設備などを増やすだけでは、温室効果ガス(CO2など)の増加や放射性廃棄物の排出、冷却水の排水による海水温の上昇を招いてしまう。加えて、大規模な発電設備の場合、その設置場所が限られてしまうため、基本的には電力の消費地から遠い場所に設置されることになる。そうするとどうしても大規模な送電網を構築する必要があり、遠隔地へ電力を送るがゆえに、送電ロスを見込んだ上で余分な電力を発電しなければならない。それは、余分な温室効果ガスを排出し、必要以上に海水温を上昇させることを意味している。

 解決方法の一つとして、高効率の火力発電設備の導入が挙げられる。これは効率よく発電させることによって、温室効果ガス(CO2など)の排出を減らしつつ、安定的な大電力を供給することができる方法である。また、温室効果ガスの排出をなくす太陽光発電設備や風力発電設備など再生可能エネルギーの導入もその解決方法の一つである。しかし、高効率の設備を導入したとしてもCO2の排出自体がなくなるわけではなく、再生可能エネルギーも時間的・天候的な制限等があり、不安定な電源であることは拭えない。そして、現時点で大規模な送電網・送電ロスに対する解決方法は見出されていない状態である。

 我々が開発している、いつでもどこでも発電できる重力発電システム『グラビティ24』は、斜面を転がる回転エネルギー(重力)を電気エネルギーに変換する発電方式のため、温室効果ガス(CO2など)を排出する機構がなく、天候に左右されず、24時間発電可能である。また、場所を選ばず発電できるため、電力の消費地により近いところで発電させることで、既存の大規模な送電網が不要になる。これにより、遠隔地に電力を送るための余分な発電ロスを減らすことになり、それが全体的な発電電力を抑えることになる。そうすることで、温室効果ガス(CO2など)の排出をさらに減らすことができるといった環境問題に対する好循環を生むことが予測できる。

4.グラビティ24の今後の展開

我々が考えているグラビティ24の導入候補を以下に挙げる。

<グラビティ24の導入候補>

〇小規模
  ・長距離輸送に用いられるEVトラックやドローンに対する充電ステーション
  ・発電や送電網の構築が困難な砂漠地帯
  ・ビニールハウス栽培を行なっている農家など
  ・病院や役所などの予備電源設備がある場所
  ・送電網の構築が困難な山中や離島などの場所
  ・太陽光発電設備、風力発電設備などの代替

 

〇大規模
  ・既存火力発電設備、原子力発電設備などの代替

 

4-1.小規模

4-2.大規模

4-3 導入のための試算

5. グラビティ24の課題

<問題点や改良点、懸念点>

(2019年度中)
  ・小規模発電用発電機の開発
  ・小規模発電用専用システムの開発
  ・小規模発電用試作機の設置場所の選定
  ・小規模発電用試作機の製作

(2020年度以降)
  ・大規模発電開発の開始
  ・大規模発電用試作機の製作
  ・製造拠点に対する検討
  ・輸送に関する検討
  ・グローバル導入に向けたルートの検討

 

 現在開発中のグラビティ24は、200W発電する試作機を製作しており、問題点や改良点の洗い出しをしている。ここから、小規模発電用試作機を製作するにあたって必要なものがいくつか挙げられる。

 第一に、小規模発電用の専用発電機の開発が挙げられる。現在、200W出力の試作機に使用している発電機は、以前我々が研究開発をしていた風力発電機を流用したものであり、その発電機を用いて発電部分を構成している。そのため、グラビティ24に適した発電機とは言い難く、出力が小さいことから、専用発電機の開発が必要になる。これに関しては、ある程度の構想が出来上がっており、発電機の径を大きくすることと発電機の多層構造化で対応が可能であると考えている。

 第二に発電機と同様に専用システムが必要である。これは本体の動作だけではなく、どのように発電したものを取り出して蓄電・送電するかといった、全体の専用システムについて開発が必要である。特に、単独での利用だけでなく、複数の連係による利用も視野に入れてシステムを構築する必要がある。

 第三に試作機を製作・検証するにあたって、設置が可能な場所(用地)の選定を行なう必要がある。その場所にて試作機の設置や検証、その結果を踏まえた上での改良、最終的には連続運転試験などを行なうことになる。

 最後に、それらをまとめることで、小規模発電用試作機を製作する。

 以上を含め2019年度中に200W発電する試作機での検証を終了し、小規模発電用の専用発電機・専用システムの開発を行ない、用地の確保を行なった上で、試作機の製作を進めていく予定である。

 2020年度以降は、2019年度で製作した小規模発電用試作機での検証と改良を進めながら、2020年度末まで連続運転試験を行なう予定である。また、2020年度末に予定している量産化に向けて製造拠点に関する検討や輸送に関する検討をする必要がある。

 同時に、大規模発電開発に向けて、試作機の製作を進める必要があるため、小規模発電の開発した際に得られた知識や経験を生かして、専用の発電機やシステムの開発を進める。そして、小規模発電の開発と同様に用地の確保を行なった上で、大規模発電用試作機の製作にかかる予定である。期間的・資金的には小規模モデルで開発した際に得られた知識や経験があるため、ある程度圧縮できると予測している。

 そして、最終的には日本での導入だけでなく、グローバルな導入に向けたルートの検討を行なう必要がある。

ページの先頭へ